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2005/04/21

靖国問題(その1)

最近の中国の反日デモや韓国の竹島問題に対する過剰反応は理性的なものとはほど遠いし、それに対し日本が低姿勢を取る必要は全くないが、こと靖国神社の首相の公式参拝に関しては日本の対応にも問題があると思う。

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国家の首相が戦没者を慰霊するのは当然であり、それ自体についてとやかく言われる筋合いはない。

しかしA級戦犯が合祀されている靖国神社には首相は参拝すべきではない。

「死んだ人は等しく祀るのが日本の伝統だから理解して欲しい」という理屈は対外的には通用しない。

仮に同じ理屈でドイツの首相がヒトラーの墓参りをしたら、侵攻を受けたヨーロッパの各国及び全世界のユダヤ人は納得すると小泉さんは思っているのだろうか?

戦後ドイツはナチスに全ての罪をかぶせ、それを切り捨てることによって贖罪し、かつての敵国の信頼を得ることが出来た。それの善し悪しはともかく正しい戦後処理であったことは間違いない。その点で日本は未だに戦後処理が出来ていない。

一部の人に罪をかぶせてばっさり切り捨てることに対しては、僕自身やや抵抗を感じる。恐らく、それが日本人のメンタリティなんだろう。しかし果たして戦犯として処刑された人の名誉を回復することは、その人の死に報いることだろうか?いや全くその逆である。

A級戦犯を合祀することによって近隣諸外国との関係がこじれるようなことでは、その処刑は全く無駄だったことになる。言葉は悪いが、人柱は立てたが築城を途中でやめたようなものである。ここで言う城というのはかつての敵国や近隣諸国との信頼関係だ。城が建ってこそ人柱の犠牲が無駄にならないのである。

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日本の戦争犯罪を裁いた極東軍事裁判(東京裁判)が公正な裁判だったと言うつもりはない。その件については今はここでは書かない。

処刑された戦犯と同じく巣鴨の東京拘置所に収容されていた人達が、その後復権して政界などにも復帰している。これもナチスを政界から追放したドイツと対照的だが、それの善し悪しについてもここでは書かない。

その政界に復帰した人達が恐らく後ろめたいのであろう、処刑された戦犯たちの名誉回復に大きく関わってきた。もちろん遺族の強い要請もあった。今も政界にはこうした人達の流れを汲む勢力がある。小泉首相もその一人だ。

その気持ちは同じ日本人としてよく分かる。しかしここは心を鬼にしてA級戦犯を分祀することこそが、その死に報いることだとわかっていただきたい。

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コメント

日々めまぐるしく動く現在において、考えなくてはならない問題だと思います。

不勉強の為、私見を述べることはできませんが、最終段落には特に共感します。(捉え方は異なるかもしれませんが・・・)

>ゆういちさん
僕も実際のところ最近まで何も知らなかったというのが本音です。でも、ちょっと調べ始めたら「おや?」と思うことがいろいろ出てきました。

難しい問題ではありますが、あらためて調べるにはいい機会だったかもしれません。

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