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2009/07/20

アニメの殿堂(その2)

「アニメの殿堂」建設反対意見としてよく聞くのが「そんなことに金を使うんだったら、生活の苦しいアニメーターを援助した方がいい」というものだ。

一見、至極まっとうな意見のように聞こえるが、本当にそうだろうか?
博物館を作ることとアニメーターの生活を守ることはまったく別次元のことだ。例えるなら、文化財建造物の保存を議論しているのに、そんな金があるなら住宅需要の冷え込みで生活が苦しい大工に回せと言っているようなものだ。

もし、アニメーターがその労働に見合わない不当な賃金で働かせられているとしたら、それを是正しなくてはならないのは厚労省だ。
例えば、オタク達がせっせとつぎ込んでいる膨大な資金がアニメーターに還元されていないとしたら、それを是正するシステムを構築する。また、アニメーターの多くが個人の資格で働いていると思うので、全員が加入できる欧米型のユニオンのような制度を作る、などが考えられる。いずれにしても、それは文化庁の仕事ではない(お役所の縦割り行政を是認するわけではないが)。

それにアニメ制作現場に、資金を投入するのも現実的ではない。
アニメ制作会社に一律に資金を分配しようとすれば「あそこは、やたらと半裸の女の子が出てくるアニメばかり作っている。そんな会社に国が金を出すなんてけしからん!」などとクレームをつけられて、制作しているアニメの内容によって資金が投入されたりしなかったりする可能性がある。それは国による一種の検閲だ。
それならば、アニメーターに給付金のようなものを支給するとする。しかし、他にも生活が苦しい状態で文化的活動をしている人たちがいるわけで、アニメーターばかりが優遇されるのはおかしいという意見が出るはずだ。

僕自身貧乏マンガ家だが、別に国の援助が欲しいなどと思ったことは一度もない。恐らくアニメ制作現場の人の中で、国から援助して欲しいと思っている人などほとんどいないと思う。それこそ余計なお世話だ。

いずれにしても、アニメーターの生活資金援助をする予算が提案されたら「そんな好きでやってる連中にやる金があるなら、介護老人がいる家庭や母子家庭に回せ!」と、これまた反対されるに決まっている。

「そんなことに金を使うんだったら○○に……」と言う言葉はあらゆる局面で聞かれるが、脊髄反射で言っているようにしか聞こえない。街角インタビューならともかくTVコメンテーターの中にもそういう人がいる。そんな連中にギャラを払う金があるなら、もう少しアニメ制作に金を出してくれ(笑)。


***
次回、まとめです。

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コメント

KYな保土ヶ谷1です。( ^ω^ )
思いつきレスなんで御容赦を。

昔はアニメといえばテレビが主力媒体でしたが、テレビそのものに求心力が弱くなってますし、コスト面でも海外製作が主流となりつつありますからねぇ。
国内生産者には厳しい道しか残されていないというのが現実でしょうか…。

今、国がするべき事は海外における著作権の保護じゃないでしょうか。
下手に金をばら撒くより製作者の苦労が水泡とならないように国が断固とした措置を講じないと、パリの日本料理店のように偽者が主流のようになってしまします。

外交が得意の現総理には海外が非難が飛び交うほどの保護政策を打ち出して貰いたいものです。

日本のアニメーションの世界でメシを喰っていく…ということは 相撲の世界にたとえることが出来るかもしれません。
強ければ格付けが上がります。格付けが上がれば懸賞金の戴けるチャンスが圧倒的に増えていきますから収入が上がります。(これは漫画の世界も同じだと思いますが)
生まれながらに才能をもたらされた強いひともいる。相撲が大好きで努力を重ねて強くなるひともいる。
「強くなければならない」「強くなければ続けられない」強くなれないひとは「夢だったんだな」と諦めて田舎に帰るか、ちゃんこ屋を開業するしかないと思います。実力勝負の厳しい世界。

日本のアニメ業界はTVアニメが始まることによって、かつての大手制作会社が市場を独占しようと行ってしまった極端化した「ダンピング」によって制作費が矮小化され、制作スケジュールも死人がでるほど信じられない期間で制作されるようになってしまいました。しかし、それには功罪があったのです…この説明は長くなるから省きますけど(笑)

実力に溢れたアニメーターの方と机を並べて仕事をすると本当に怖いですよ。一晩中、鉛筆の走る音(「カリカリカリ‥」ではなくて)「ガッガッガッガッガッ!」という力強い響きが止まらず、時たま鉛筆削り機と電動消しゴムの音がするだけ。全く迷いもなく休みもなくトイレにも行かず集中して原画を書き続け、(失敗に気づいた用紙は即グシャグシャに丸めてゴミ箱行き!) カット内容にもよりますが、一般的TVアニメの場合、一晩で30カットくらいは軽く上げてしまいます。
ごくまれに こんな凄まじいオーラ力を放出する仕事をされる方や、作画監督を1ヶ月に何本も掛け持ちできる、月収百万円以上稼ぐアニメーターもちゃんといらっしゃいました。(今も仕事を続けている‥。)腱鞘炎になる方が多いです。

稼ぎたかったら横綱にでもなんでもなればいいんです!(笑)

……何の話でしたっけ?ああ アニメの殿堂でしたね………………………………………………………………………………(遠い目)

≫保土ヶ谷1さん
麻生首相はそうした著作権問題にも積極的に取り組む姿勢があっただけに、解散総選挙で麻生政権が終わってしまう(公算が高い)のは残念です。
あっ、もしかしたら麻生下ろしの裏側で著作権問題をうやむやにしたい外国勢力が暗躍していた?出た!陰謀説!(笑)

≫ゲスト淵野辺さん
実は、ゲスト淵野辺さんのようにアニメ制作の現場で働いている(いた)方の率直な意見が聞きたかったのです。結局、僕らの知っている内情というのは全部伝聞ですから。

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